模糊日記

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読書、アニメ、マンガ、ロードバイクなど思ったことを書きます

青くて痛くて脆い -住野よる-

とてつもなく風が強かった3/1にその本は手に入りました。昨年実写映画化そして今年にはアニメ映画化される”君の膵臓をたべたい”の作者住野よるさんの最新作”青くて痛くて脆い”。前作”か「」く「」し「」ご「」と「”から約一年ぶりの新刊です。感想を書いて行こうかなと思います。

 最後まで読んでもらえたら嬉しい限りです。

 あらすじ

人に不用意に近づき過ぎないことを信条にして大学に入学した僕(楓)。その前に理想を追い求めることを信条にする秋好寿乃が現れる。彼女は授業中に空気の読めない発言をするなど楓とは正反対を生きる人間だったが二人で「モアイ」と呼ばれる秘密結社を立ち上げる。この秘密結社は自分の求める理想のために小さな活動を行っていく活動をしている。3年後その組織は大きくなり楓はその組織をやめごく普通の大学生として就職活動を行なっていた。そして楓が組織を抜けた原因は秋好を喪失してしまったこともあった。組織はいつの間にか大きくなり最初2人で掲げていた理想とは離れたものになっていく。その組織を正しい方向に変えるため(リセット)するために楓は同級生の董介と共にモアイ潰しをはじめる。モアイ潰しの果に楓は何に気づくのか・・・

 

住野よるさんの良さ

キャラクターの心の変遷

住野よるさんが描くキャラクターは陰から陽、陽から陰への変遷が非常に読んでいて面白いものが多いような気がします。君の膵臓をたべたいを例にあげると主人公の僕(志賀春樹)も外には出ないような根暗な感じではあったがヒロイン(山内桜良)と出会い考え方や人との関わり方を変えていく。今作品では誰も傷つけないことを信条としなるべく目立つことなく暮らしたい楓と自分の理想を追い求めるために空気の読めない発言する秋好と関わることで楓の心の中が変化していく様子がわかってくる。

共感のしやすさ

フィクション作品なので物語全体が共感しやすいと言うよりは断片的にこの気持ちはわかるなと言う部分が非常に多いです。こんな人学校にいそうや自分もこんなことしていたなど既視感のある人物や場面に出会うことが多いですが、決して退屈になる印象がありません。きっと当事者でしかわからない気持ちや受け取り方と言うものが十人十色だからなのでしょう。

 

感想

今作品の感想をつらつらと書いて行きます。

人を失うの種類には2種類あることがわかりました。物語は大学1年生の時に初めて秋好と楓の出会い、モアイの誕生が描かれ、そして”あの時笑った秋好はもうこの世界にはいないけど。”で締めくくられる。一見事故や病気でなくなったことを想像してしまう。しかし、それは安直であることを物語のピークを迎えるところで明らかになるのです。モアイを潰すために活動していた董介にもうやめないかと言われるシーンでまさかの名前が明かされるのです。死というものはその場にいなくなることで失うものであるが、今回は人が変わったことを失うという言い方をしている。これには偶の音も出ませんでした。明らかに自分に欠落していた考え方でありました。決して秋好と楓は彼氏彼女の仲ではないのですが、この人が変わったということで決別してしまうのです。

この作品で印象に残ったワードがあります。正確には覚えていませんが”心の1層目と2層目”という言葉です。裏表がない人など言いますが絶対にそんな人はいないと思います。自分自身でもそう思いますし、どの自分が本心なのかも正直わからなくなる時があります。陰キャラなのか陽キャラなのかなどは本当に困る質問の一つです。もとを辿れば多分自分は根暗や陰キャラと称される部類だと思っています。何にでも対応できるようにテンションの開閉をしているのは自分でもわかるような気もします。

誰も彼も、理想を語る。誰のためだと優しさを語る。けれど、薄皮一枚はげば、そこに自らの欲望があって打算がある。

 青くて痛くて脆い 住野よる 角川書店

 

結局はみんな自分のためで、そこにあるものがなんだってよくて、そこにいるのが誰だってよくて、自己顕示欲やお金や性欲のために、人を利用できる。

 青くて痛くて脆い 住野よる 角川書店

モアイ討伐の佳境で楓がモアイのリーダーと話している時このような言葉が挟んである。この思考や行動というのは自分たちが生活していく上で切っては切り離せない感情なのかもしれないと私は思う。この思考は思ってもなくとも心の隅には絶対に潜在的に存在していると思う。ただ言えることは一つだと思うがこの感情があるからといって簡単に人を傷つけてはならないというところだろう。全て人間対人間の関係性にフォーカスした作品だと思うが、ここまで人を傷つけるという部分を強く印象に残る作品は過去作を通じて初めてだと思うが、人間関係の複雑さを再認識できる作品だと思います。人が傷つく描写の印象が強いが決して胸糞が悪くなるような作品ではなく最後に救われたような気分になれる作品であることは強調しておきたい。

 

最後に

この作品は大学生が主人公である。また、就活が裏テーマだったりするような作品だったりすると思う。私は就活を終え残り1ヶ月切った学生を満喫しているところだが、就活を控えている人にはほんのわずかではあるが心が締め付けられるような描写があるかもしれないが、就活中に読んだから鬱になる本ではないので是非一読してほしい作品である。特に35〜36は特に就職先への考え方を考えさせられるだろう。

 

今作品

青くて痛くて脆い

青くて痛くて脆い

 

 前作品(めちゃめちゃキュンキュンします)

 

か「」く「」し「」ご「」と「

か「」く「」し「」ご「」と「

 

 

 

https://www.instagram.com/p/BfymIoEjpVO/

青くて痛くて脆い君の膵臓をたべたいの住野よるさんの最新作。大学生が主人公の作品。傷つけてしまったことで気づけることもある。それをただそんなことあったな程度にすませていいのかを考えさせられる本。まさかすぎる展開にドキドキしながら読める作品。読み終わったあと装画と物語が繋がっているようで手にとって読んでもらいたいなと思える。#青くて痛くて脆い #住野よる #読書記録